米フェイスブック主導の仮想通貨リブラで注目された、米国の「公聴会」とは

/ 7月 17, 2019/ NEWS

「リブラ」で注目された米国の公聴会とは
7月17日に開催された米上院銀行委員会の仮想通貨リブラに関する公聴会が注目を集めた。当ページでは、米国会の公聴会の目的と意義について、過去の影響を含めて解説する。

世界の注目を集め、世論に影響も

17日に開催された米上院銀行委員会の「リブラ」に関する公聴会は米国のみならず、仮想通貨業界内外からも注目を集めている。なお、フェイスブックとリブラをめぐる公聴会は18日にもう1つ、下院金融サービス委員会により開かれる予定だ。

そもそも「公聴会」とは何か。

米国会の公聴会は、上院と下院に設置された各委員会、各小委員会が重要法案などについて調査・情報収集をするため、関係者や専門家を招致して開くものだ。

もともとは非公開を原則としていた公聴会だが、1973年当時の「ウォーターゲート事件」から、原則として公開されるようになっている。

政府高官や連邦準備理事会(FRB)など公的機の幹部のほか、国民的な関心を集める事案では、企業の経営者を呼ぶこともあり、2010年2月にトヨタ自動車の豊田章男社長が、当時起こった大規模リコール問題で米下院監督・政府改革委員会の公聴会に出席し話題になったことを記憶している方も多いだろう。

また、新閣僚や最高裁判所の裁判官などの任命の際には、上院による指名承認公聴会が開催される。

委員会は参考人に対して宣誓させることができ、参考人は自らに不利な証言を拒むことができるが、偽証が発覚すれば、最高で禁固5年の刑を科される可能性がある。

これまでもベトナム戦争やウォーターゲート事件など、公聴会をきっかけに米国民の世論に大きな影響を受けた例は多い。

過去にもザッカーバーグ氏らが出席

公聴会にフェイスブック社が召集されたのは今回が初めてではない。

昨年9月には米上院情報問題特別調査委員会による公聴会に最高執行責任者(COO)シェリル・サンドバーグ氏がTwitterの最高経営責任者とともに、データの扱いや大統領選での選挙干渉について証言した。

注目を集める公聴会は、全米にさまざまなメディアで実況され、質問する議員にとっては絶好のアピールの機会となることもあり、政治ショーとなることに眉をひそめる向きもある。

ザッカーバーグ氏が出席した公聴会でも、フェイスブックの仕組みをほとんど理解していないように思える質問をする議員が多数いたことが話題になった。それだけに証言する側は、慎重を期する必要があるとされ、対応を誤れば、国会や国民から批判的な目を向けられることになるおそれがある。

ザッカーバーグ氏は公聴会に出席した際には、普段のTシャツではなく、スーツとネクタイで姿で登場し、議会や国民に対し好感度をあげるためかもと話題になった。

今回リブラとフェイスブックに対する公聴会は、ザッカーバーグ氏でなく、同社仮想通貨・ブロックチェーン最高責任者であるDavid Marcus氏が出席する。

今回の公聴会がどのように、議員や国民に受け止められたのかには、注目しておく必要がある。

なお、2020年11月には米国の一般選挙であるため、再選挙を迎える上院・下院の議員らはフェイスブックの公聴会にて自己PRをする絶好なチャンスにもなる可能性があるため、仮想通貨リブラでなく、単純にフェイスブック社に対する批判を行う場面も見られている。

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